ニコニコメドレーの作り方【ニコニコメドレー技術編・③構成/演出】

この記事は、
「ニコニコメドレーを作ってみたいけどどこから手をつければいいかわからない!」
「別に作りたくは無いけどどうやって作ってるのかは知りたい」
という方に向けて書いた記事です。




※注:まだ【ニコニコメドレー技術編・総合】の記事をお読みでない方は、先にこちらをお読みいただくと、本記事がよりわかりやすくなるかと思います。



書き手について
名前:26K(にとろく)
何してる人?:ニコニコメドレーを作る人。ごく稀にボカロ曲を作ったり歌ってみたを上げたりしています。
参考マイリスト:mylist/30910932
ニコニコメドレーとは?

⇒一般には「組曲『ニコニコ動画』」や「ニコニコ動画十年祭」のように、
ニコニコ動画の有名曲を集めたもの」みたいな認識が強いと思います。
ですがこの記事ではあくまで、
ニコニコ動画の有名曲でなくても、
作り手が『ニコニコメドレー』だと主張すれば、それはニコニコメドレーである
という立場から書きたいと思います。

ですので、選曲や長さ、構成に縛られず、自分の好きな曲を好きなように繋げたものでも、ニコニコメドレーだと主張して構わない、という立場です。

試しに「ニコニコメドレーシリーズ」でタグ検索をしてもらえると、色々なバラエティに富んだ作品が沢山投稿されているのが分かってもらえるかと思います。










[目次]
⓪はじめに
①構成/演出って?
②具体的な特徴的な演出の例
③構成/演出について考えるときに考えていること
④例えばこういう構成とか
⑤Q&A







⓪はじめに
あくまでこのブロマガで書くのは、
ニコニコメドレーを作るための方法の "1つ" です。
作者が10人居れば10通りのメドレーの作り方があります。
このブロマガ通りに作らなかったからといって "間違い" というわけではありません!

「どこから手をつければいいか分からない!」という人に、
このブロマガをきっかけに手を出してほしいという思いから書くに至りました。

この記事が、自分なりのニコニコメドレーの作り方を編み出すきっかけになってくれたら嬉しいです。





①構成/演出って?

一般的にはメドレーで使う曲順が構成の主たるものですが、侮ってはいけません。
使った曲が全く同じでも、構成や演出によって大きく印象が変わるのです。

例えば、
 1. 恋 / 星野源
 2. 虹 / Aqua Timez
 3. Tell Your World / kz feat.初音ミク
という構成があったとします。
これを2つのパターンで打ち込んでみたものがコチラです。

パターンA ←クリック!(SoundCloudのページに飛びます)

パターンB ←クリック!(〃)

全く同じ楽器で、演奏箇所が違うだけです。
Aの方は1曲目のAメロ、2曲目のBメロ、3曲目のサビを使うことで、
「TellYourWorldから盛り上がっていくぞ!」という右肩上がりな気持ちを示唆していますが、
Bの方は全ての曲でサビを使用することで、
「もう盛り上がってるぞ!」と高揚感を維持することが出来ています。

このような構成/演出の妙を少しだけでもわかっていただけたなら幸いです。




②具体的な特徴的な演出

ここから先は今までの記事と順序を逆にしまして、先に具体例を挙げていきます。
見てもらった方が早いかと思うので。


ニコニコ動画流星群12:34~)
終盤に「カオスゾーン」と呼ばれる、たくさんの曲が無秩序に入り混じった場所があります。
ニコニコオールスターなこのメドレーの “オールスター感” をさらに加速させる、最早定番といってもよい演出ですね。




ニコニコDragon ◇ 2012(0:00~、11:55~)
一番最初からカオスゾーンが始まる珍しい演出です。しかも年代順に並んでいます。
そして終盤にもカオスゾーンがありますが、「カオスゾーンの前までに使われた曲のみでカオスゾーンを構成している」という、いわば応用版的な演出も為されています。




10色(元:ニコニコ10周年記念に色々な曲を繋げてみた)
(11:46~)
このメドレーにある「ラッシュゾーン」はカオスゾーンと異なり、基本的に流れている曲は常に1曲です。しかし1曲が短く、素早く曲が切り替わります。今や王道なオールスターの演出の1つですね。




ニコニコ動画十年紀
終盤の構成面が素晴らしい。終盤に泣かせる演出が押し寄せてきます。




ニコニコ動画摩天楼(8:19~)
youキャンセル」という定番化した技法が用いられています。youキャンセルとは、ひぐらしく頃に関連曲で有名なyou(癒月)という曲の特徴的なイントロを流しつつ、実は違う曲に繋がる、というネタ。




GUMiversary!!
拙作からも1つ。これは「GUMI生誕10周年」を記念して制作したGUMIオリジナル楽曲のみのメドレーですが、①コンセプト編の記事で話したように、いい意味で期待/コンセプトを裏切るため、GUMIの声の基となった中島愛さんの楽曲も2つ入れてあります。




ここに出したのは本当に一例で、他にも、「1曲目で使った曲を最後にもう1回使ってループ仕様にする」だったり、俗に「バラードゾーン」と作者間で呼んでいる「テンポを落とした静かなゾーン」だったり、メドレーの最後にエンドロールを入れたり、途中に声ネタ音MADボイスロイドのMCを入れたりと、様々な演出が為されています。
本当に可能性は無限大です。



③構成/演出について考えるときに考えていること

僕自身色々な構成の組み方があります。
打ち込みながら必死で考えて多くのボツ案が出ることもあれば、脳内で繋げて一晩で完成することもあります。
⓪総合の記事でも書いたように、ここは十人十色です。

ただ1つだけ言えるのは、旅行の計画を練るかのように、
「次にこの曲が来たら盛り上がるだろうな」
「この曲は入れたいけど雰囲気が合わないなぁ」
と思索にふけっている時間は、本当に楽しいです。



そして色々話してきましたが、構成/演出で大切なこと。
僕は、「見る人の予想をいかに超えていくか」だと思っています。
「うぉっ、まだ続きがあるのか!!」とか、「なんでこの曲の後にこれなんだよwwww」とか、それが感動方面でも、感動ブレイク方面の爆笑方面でも、間違いなく見ている人(それがたとえ自分だったとしても)の印象に強く残り、心を動かすことが出来ます。

ただ、これもまた難しい。
例えば、ニコニコメドレーの最後の曲として定番のレッツゴー!陰陽師を外して、別の曲にしたとします。
しかしその選択によっては、「あれ?陰陽師じゃないの?」と視聴者は肩透かしを食らってしまう可能性もあるわけです。

安定感を取るか、斬新さを取るか。ここも、メドレーを作るときの悩みどころでしょう。






④例えばこういう構成とか

例えば、コンセプトとして
知名度の高い曲をたくさん入れて、多くの人に楽しんでもらいたい」
「絶対に入れたい自分好みのちょっとマイナーな曲が3曲ある」
「全体として7-8分を目標に」
「バラードゾーンを入れない」
「飽きさせない」
というものがあったとします。

僕がこのコンセプトでメドレーの構成を組むとしたら、このように考えます。

「バラードゾーンが無く7-8分ということは普通に組めば飽きやすいな」
⇒「同じ曲調が続くと3分くらいで飽きるから、全体を大体2-3分割するか」
⇒「それぞれをパートABCとすると、AとCは盛り上げたいなぁ。パートBはどうしよう」
⇒「BにはAとCに比べてギャップが欲しいから、何かしらギミックを入れるか」
⇒「よし、パートBは『タイトルに♥の入る曲』だけで構成してみよう。アレンジも変えよう」
⇒「Bの中身の構成が難しそうだから、先にBを構成して、その後ACを構成しよう」
⇒「マイナー曲は各パート1つずつ?いや、Cで知らない曲が来たら一瞬盛り上がりに欠けるな」
⇒「Aの終盤に2曲にしよう。代わりに♥のつく自分の入れたい曲を1つBに入れよう」
⇒「よし、とりあえず知名度の高い入れる曲を書き出していって組んでみるか」

と、こんな感じでしょうか。
A、B、Cの中身の作り方は、明日更新の④繋ぎ/重ね編で詳しく触れます。
少しでも考える一助になってくれたら幸いです。


ということで、③構成/演出に関してはこれくらいで終えます。
色々なメドレーを聴いて、どういう構成をしているのか自分なりにまとめてみるのも面白いかもしれませんね。



⑤Q & A

ニコニコメドレーの作り方【ニコニコメドレー技術編・③構成/演出】に関するご質問は、
随時コメントやリプライで受け付けております!
その質問に対する答えを捕捉という形で本記事に適宜追記していきます。





新しいニコニコメドレー作者であるキミの作品を待ってるぞ!





他項目へのリンク
ニコニコメドレーの作り方【DTM/音楽技術編】
○ニコニコメドレーの作り方【ニコニコメドレー技術編】
総合
コンセプト
選曲
③構成/演出(本記事)
繋ぎ/重ね
アレンジ